来年から奄美地方に営業に行く可能性もあるので、暇なうちに奄美について調べてみました。

奄美が本土に復帰して五十余年が経った。

復帰以来、奄美群島は奄美群島振興開発特別措置法(通称:奄振法)で政府により手厚い保護を受け建設業と観光業を中心にして成長してきた。

しかしそんな奄美も産業転換に迫られている。

理由としてはまず公共工事減少による建設業の衰退が挙げられる。

公共工事を中心とした所得再配分に対しては極めて厳しい目線が注がれるようになり、事実として奄振法を根拠法とする奄美群島振興開発基金の融資・保証枠が年々減らし続けている。もう奄美は奄振法に頼れなくなっているのが現状なのである。

では奄美の次の一手とは
キーワードは「トレーサビリティー」

トレーサビリティーとは、「追跡可能性」などといわれ、製品の生産・加工・流通の各段階において、製造者・販売元などを記録保管することをいう。

鳥インフルエンザやBSEなどの問題や、「遺伝子組み換え作物」の登場によって、食の安全性が急速に高まり、トレーサビリティーが訴えられるようになった。

流通経路が確実に記録されていなければ、問題が発生した際に、原因が突き止められず問題が広範囲に広がる恐れがあるからだ。(上記オールアバウトより引用)

上記のトレーサビリティーは政府主導により着々と整備され近い将来地域ブランド確立のインフラとなりえる。

そうなれば農業、食品、健康食品の分野で奄美ブランドを確立するチャンスが広がることが予想される。

「奄美ブランドは知らず知らずのうちに」

最近の焼酎ブームで芋焼酎だけでなく、さとうきびが原料の「黒糖焼酎」も市場拡大を果たしている。

この「黒糖焼酎」は奄美の特産品である。さとうきびは日本では沖縄と奄美で主に生産されている。

近隣の東南アジア諸国でも原料代替や製造代替は可能だが、政府によるトレーサビリティーの振興の潮流にうまく乗り、確固たる「奄美ブランド」定着を図れば量から質へ消費者の志向が移る現代ではうまく乗り切れるではあろうか。

もっといえば奄美=黒糖焼酎の方程式の消費者への浸透である。

話は変わるが、先述した建設業種の縮減圧力により町田建設が焼酎へ進出し成功している。奄美では粛々と建設業から食品産業へのシフトが進んでいる。

奄美は焼酎だけか?

そんなことはない。奄美はトレーサビリティーの恩恵を受けやすい食品産業分野が充実している。

「与論の和牛」

奄美群島の一つである与論島はサトウキビ生産が主な産業であったが、近年は和牛生産に力を入れている。

平成13 には全国肉用牛経営発表会の組織部門において最優秀賞(農林水産大臣賞)を受賞した農家も存在し、その質は国内外から高く評価されている。

「ウコンや月桃、マンゴー、パッションフルーツ、きび酢」

これらのフルーツを中心とした食品は日本だけでなく食品への安全危惧が高い中国への輸出が見込まれる。

中国はいわずと知れた日本への野菜輸出国だが、日本からも高級フルーツを輸入している。

上海などを経済発展が目覚しい地域では日本の農産物への期待が高い。

現に青森産のりんごを食べることが上海の上流階級の間ではステイタスのシンボルになっている。

トレーサビリティーへの期待は日本よりむしろ中国の方が大きいといえるかもしれない。そんな上海へ近い奄美は高級農産物をつくる生産拠点として絶好の立地といえる。

「観光」

 これまでの50 年、奄美群島は、一時は新婚旅行のメッカとして繁栄を享受した。

いまでは昔日の面影はないものの、奄美群島は比較されやすい沖縄よりも自然が保護されており、世界遺産への登録が検討されるなど、新しい希望もみえつつある。


~結び~
奄美の奄振法からの完全な脱却はトレーサビリティーの潮流にうまくのり「奄美ブランド」をより一層高めることが重要である。